#02 心があたたまる本

「きいろいゾウ」西 加奈子

言葉がやわらかくてかわいらしくて、文字を追うだけでふわふわしたやさしい気持ちになれる小説です。田舎で暮らす夫婦のツマとムコさん、そしてご近所に住むアレチさんとセイカさんご夫妻や、野良犬のカンユさん、チャボのコソク、登校拒否の小学生の大地君、そして大地君のことが大好きな洋子・・・。 たくさんの個性豊かな人(動物も!)たちに囲まれた、ツマとムコさんの日常は微笑ましい。私は特に、大地くんが好きです。
でもずっとほのぼのした物語のまま終わらせないところがさすが西加奈子さん。にもかかわらず、読み終わったときに必ずあたたかい気持ちにさせてくれるのもさすが西加奈子さん。 ツマとムコさんの間に漂う不穏な空気と、その原因であるムコさんの秘密。そして激しい感情の波をコントロールできないツマ。 夫婦ってなにか?愛すること、信じることの大切さを感じる物語です。
2013年に映画化もされた作品です。
映画.com|きいろいゾウ❐

宮崎あおいと向井理がイメージにぴったり!でも小説を読んだあとに映画を見ると、少し物足りないと感じてしまうかも。私は、映画→小説→映画2回目でした(笑)

「i」西 加奈子

悲惨なニュースを見たとき、皆さんはどんな気持ちになりますか?自分に関係のない場所で起こり、知らない人が巻き込まれたものであっても、きっと心は沈むはずです。 でも自分がどうにかできるものではないと、考えないようにしたり、いつの間にか忘れてしまっているのではないでしょうか。 主人公のアイちゃんは、世界中で起こっているそんな悲惨な出来事を自分事のように大事に大事に考え、そして悲しみ苦しむのです。 アイと自分は境遇が全然違うし、正直共感することも難しい。でも、ラストシーンはとても美しく感動的で、「アイちゃんと自分は繋がっている」と思わされるものでした。 遠い国のことに思いを馳せる尊さや、自分は一人じゃないことに気づかせてくれる物語です。

「さくら」西 加奈子

西加奈子作品の連続ですみません! これは特にめっちゃ泣きました。5人家族と一匹の犬「さくら」の話。 今思い返しただけでも胸がきゅうっと締め付けられます。こんなに切ないのに読み終わったときあたたかい気持ちになるのはなぜでしょう(涙) 苦しいことが起こってもいつも家族を笑わせてくれるさくらの存在と、一途な愛を貫く美貴、そして強く生きようとするこの家族たちのおかげかもしれません。 まだ見ていないのですが、こちらも最近映画化されています。 
映画.com|さくら❐
きっと心が暴れるので、泣きたいときに見ることにします。

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